百武正嗣先生の本
『家族連鎖のセラピー』を読みました。
本書は、ゲシュタルト療法の視点から
家族のつながりや家族の中で起こる問題について
解説された本です。
本書には、著者のクライエントさんなどの
家族のエピソードや、セッションでのエピソードが
たくさん掲載されています。
基本的には、人の悩みや問題を取り上げているのですが、
その人が変容していく過程において
なぜか(我々読者の)心が温まるようなものが多いです。
それは、著者である百武先生の
「家族連鎖は、家族という人間関係の根源にある愛情を、
次の世代に伝えるシステムである」
という考え方が表れているからだと思います。
例えば、頭痛を訴えるある女性のケース。
彼女は、著者と話しているうちに
亡くなった母も頭痛持ちだったということを
思い出しました。
そして、気づきました。
「私は、もしかしたら母親と同じ頭痛になることで、忙しい子育ての日常の中に母親を呼び寄せていたのかもしれません」
●百武正嗣著『家族連鎖のセラピー』(春秋社/2012/P9)より引用
その後、彼女から頭痛が消失したそうです。
彼女は、頭痛によって「母親と一緒にいる」という安心感を
どこかで感じることができていたのでした。
※「母親を感じるために、頭痛になっていた」という解釈。
こういうスピリチュアル的ともとれる現象や、その考え方は
私も大切にしたいと考えています。
彼女の例は、スピリチュアル的であると同時に、
気づきによって心と身体症状の統合が得られ、
症状が消失したという点では
やはりゲシュタルト療法的であるとも言えます。
『家族連鎖のセラピー』には、
未解決な問題(のパターン)や不安などの感情や葛藤が
世代間で繰り返されるメカニズムについても
分かりやすく解説されています。
※ゲシュタルト療法の視点からの解説です。
祖父母の不安や葛藤は、その子どもである親に引き継がれ
さらにその子どもである自分に引き継がれます。
※形を変えて引き継がれることもあります。
その連鎖を終わらせるヒントも
『家族連鎖のセラピー』に書いてありました。
どのような<未完了>なことであっても、家族のメンバーの一人がそれに気づき、解決の糸口を探し始めた時に、連鎖の<からまり>は解けていくのです。
家族の連鎖反応は、そのパターンが意識に上がった時、その役割を終えるのです。
●百武正嗣著『家族連鎖のセラピー』(春秋社/2012/P87)より引用
「そのパターンが意識に上がった時」
すなわち、そのパターンに気づいたときに
連鎖を終わらせるチャンスがめぐってきます。
不安障害に家族連鎖が関係していると思われるケースは
多々ありますので、家族連鎖は
不安障害専門カウンセラーの私にとっては
大切に取り扱いたいテーマです。
これから本書を読み返して、
さらに理解を深めておきます。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが笑顔いっぱいでありますように!