生きる力をつける支援のために~答えにくい質問への対処

SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の分野で
ご活躍されている前田ケイ先生の本、
『生きる力をつける支援のために』を読みました。

 

※SST=社会生活技能訓練。
認知・行動へのアプローチの1つです。
対人行動を中心とした社会的スキルに関して、
実際にロールプレイを行いながら練習します。

(人前での挨拶の練習、上司に謝る練習など)

 

今日は、本書の簡単な紹介と、
「答えにくい質問をされたときの対処」
というテーマについて書いていきます。

 

SST MANUAL150927

※Amazonや楽天では取り扱いされていない本です。

※興味のある方は「日本更生保護協会」のHP内
「図書」のページにてご確認ください。

 

この本は、保護司向けのSSTマニュアル(DVD付き)ですが、
SSTそのものについては、誰が、誰を対象として行っても基本は同じ。

カウンセラーの私が本書を読み、DVDを視聴しても、
とても参考になりました。

 

ちなみに、本の方にはSSTの基本と注意事項などが
コンパクトにまとめられています。

DVDには、4名の先生方が行っておられる
SSTセッションの様子が収録されています。

 

文字と映像の両方からSSTセッションの事例を学べるので、
雰囲気がとてもつかみやすかったです。

※先生方の、正のフィードバック(クライエントさんを褒める)を行う姿、
表情、口調、身体の動きなどを含めて。

 

初め乗り気でなかったクライエントさんが、
次第に楽しそうに取り組んでいく様子が印象的でした。

私も参考にしながら、個人セッションやグループレッスンで
学んだことを活かしていきたいと思います。

 

flower150927

 

さて、「答えにくい質問への対処」のテーマに入ります。

 

あなたは、どんな質問が答えにくいと感じるでしょうか?

社会不安障害で悩んでいた頃の私は、
「長谷川さん、すごく緊張してたよね?」とか、
「最近、薄くなったよね?」とか、

自分の隠したい部分を直撃されるような質問
(純粋な質問とはいえない場合も多いですが)が嫌で、
答えにくかったです。

※見透かされるのが怖かったです。

 

本書に、答えにくい質問をされたときの対処法について
書かれていました。

 

(1)素直に、あるがままに答える

(2)ユーモアで、軽く流す

(3)話題を変える

(4)自分にとってストレスだと相手にヒントを与える

(5)相手が話しやすいことを質問し、相手に話させるようにする

 

対処する言葉の例です。

①ま、なんとか。

②ま、いいじゃない。あまりつっこまないでよ。

③話したくないこと、聞くなよな、ハッ、ハッ、ハッ。(笑う)

④(手を振って)かんべんしてください。

⑤ちょっとそれ、すごい質問だな!話題を変えようよ。

⑥それはパス!

⑦まぁ、ご想像にまかせます。(笑う)

●前田ケイ著『生きる力をつける支援のために』
(日本更生保護協会/2011/P107)より引用

 

私は以前は、
「長谷川さん、すごく緊張してたよね?」と言われたとき、

「今その話をしなくても、いいやないか」
「もう終わったことやから、いいやないか」と、
必死で話題を変えようとしていました。

※無かったことにしたかった。

だから、上でいう(3)と②が一番近いですね。

 

不安障害を克服した今では当時から変化していて、
「うん、すごく緊張した!」と答えるようになりました。

上でいう(1)ですね。

 

こんな風に、自分の状態に応じて、
しっくりくる言葉は変化していきますが……

あらかじめ、「答えにくい質問をされたときの答え」を考えて、
練習しておくと、そのときになって慌てなくてもいいですよ。

※答えの内容は、人それぞれでいいと思います。

 

嫌なことは嫌だといってもいいし、
自分のそのままの気持ちを尊重していいと思います。

ただし、自分を守りたいがために、
相手に対して過剰に攻撃的になったりするのは、
適切ではないかなとも思います。

 

そのあたりのバランスや、どのようにうまく伝えるかについて、
どうしたらいいか分からない場合は、
それこそ専門家と一緒にSSTにて練習してみるのもいいですよ。

私も個人セッションや、グループレッスンで
対応していきます。

 

……というわけで、今日の内容にしっくりきた方は、
取り組んでみてください。

多少背伸びしつつも、あまり無理しすぎずに、
等身大の自分を育てていきましょう。(お互いに!)

 

今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!