トラウマ ~ハンドルはクライエントさん自身が握る

今日は、宮地尚子先生の本
トラウマ』(岩波新書)を紹介します。

トラウマの心理臨床をする上での大切な点なども
本書より引用しながら、書いていこうと思います。

 

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『トラウマ』(岩波新書)は、トラウマという現象について
様々な切り口から解説されている本です。

 

トラウマが関連する心の症状や
傷を抱えて生きるということ、
傷ついた人のそばにいるということ、
DVや性暴力について、
社会的事象としてのトラウマの形、
トラウマを「耕す」(トラウマを活かす)ことについてなど
様々なテーマを採り上げて、解説されています。

 

また、トラウマを理解しやすく図と絵でモデル化した
「環状島モデル」(宮地先生オリジナル)についても
しっかり掲載されています。

犠牲者、被災者、支援者、傍観者の関係が
分かりやすく表現されていて、
より深い理解へと導いてくれました。

 

本書はコンパクトな新書版ですが、
かなり本格的に書かれている専門書という印象を受けました。

 

ここで、トラウマでお悩みの方のカウンセリングを行う場合の
大事なヒントが書かれていたところを引用します。

(この内容は、相手がトラウマでお悩みの方の場合に限ったことではないです)

 

トラウマによって奪われてしまった自信やコントロール感を本人に取り戻してもらうのです。

症状がどれだけつらくても、「自分の運転する車のハンドルを握り続けていようね」と私は当事者にしばしば伝えます。

当事者がどれほど不安定であっても、治療者が代わりにハンドルを握ってはいけないのです。

●宮地尚子著『トラウマ』(岩波新書/2013/P94)より引用

 

クライエントさんの事態が深刻であればあるほど
カウンセラーが無力感や罪悪感を感じてしまい、

ついつい根拠の無い無責任な励ましなどをしてしまったり、
「私が何とかして救ってあげなくては」という思いから、
クライエントさん自身が握るべきハンドルを奪ってしまったりなど

適切ではない「よけいなこと」をしてしまいがちです。

 

やはり、カウンセラー自身が、
自分の心の傷をきちんと整理した上で
自分の性格や傾向を把握し、
ある水準の安定性を持っていなければ、

「クライエントさんのハンドルを奪わずに寄り添う」
ということが難しいのではないかと思います。

 

私自身も、まだまだ安定性を高めていかねばと思っています。

自分の心の深い部分と向き合っていく作業は、
ずっと続けていきます。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!