「DSM-5」と社会不安障害

2013年5月に、精神疾患の診断基準の
代表的なものとして挙げられる
DSM(精神疾患の診断と統計のためのマニュアル)が
第5版(DSM-5)に改訂されました。

 

DSMは、私もアセスメントや見立てなどで活用します。

なので、今回の改訂について
分かりやすく解説されている本の登場をずっと待っていました。

そしてついに先日、いい本が出版されました。

 

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森則夫先生、杉山登志郎先生、岩田泰秀先生が編著者の
臨床家のためのDSM-5 虎の巻』という本です。

発売日に注文し、早速読んでみました。

 

本書は、DSMのたどってきた歴史や、
DSMが今回の改訂でどう変わったのかを
分かりやすく教えてくれる本です。

全126ページという比較的薄めなサイズの中に
要点がぎゅっと凝縮されてまとめられています。

各精神疾患ごとに整然と分類されているところに
使いやすさを感じました。

 

DSMによる診断は、世界的に行われていますが
その内容に関する批判も噴出していました。

今回の改訂は、長年の議論を反映した
大幅なものとなっています。

 

とはいえ、今回のDSM-5が理想的なものかといえばそうではなくて、
実際の使用には困難が伴うことも多いと考えられているようです。

『臨床家のためのDSM-5 虎の巻』は、
そんな実際の使用が容易とはいえないDSM-5を
使いやすくするための本でもあります。

一度読んですぐに、私のお気に入りの一冊となりました。

 

ここで、DSM-5における社会不安障害について
採り上げます。

これまで社会不安障害は、社交不安障害とも呼ばれていましたが、
本書によると、社交不安障害の日本語訳は誤訳とされ、
社会不安障害が正しいとされています。

(DSM-5において)

 

※2015年7月11日追記
他の書籍では、DSM-5以降も普通に「社交不安障害」と翻訳されています。
よって、私としましては今後も「社会不安」「社交不安」の両方を
用いていこうと考えています。

 

また、これまであった社会不安障害の中の
「全般性」という分類が削除された模様です。

私はこれまで、社会不安障害(全般性)と全般性不安障害の区別には
不明確な部分があると感じていたので、
この点は良かったと思いました。

 

他にも、社会不安障害の診断基準の中の
恐怖・不安・回避の持続期間について変更がありました。

DSM-Ⅳ(旧)では、「18歳未満の場合には、持続期間が6ヵ月以上」
であったのに対し、

DSM-5(新)では、「すべての年齢で6ヵ月以上」
と定義されました。

 

他の精神疾患についても、診断基準や分類の見直しなど
変更箇所は多岐に渡ります。

DSM-5そのものの日本語訳版も、早く出版して欲しいところです。

それが出版されるまでは、
3月に出版されるDSM-5関連の本
(『精神疾患診断のエッセンス―DSM-5の上手な使い方』)
も合わせて読みながら、学んでおこうと考えています。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!