双極Ⅱ型障害が、うつ病と診断されやすい理由

今日は、双極性障害(特にⅡ型)が
うつ病と診断されやすい理由について書きます。

記事の最後に、加藤忠史先生の本
双極性障害 躁うつ病への対処と治療
の紹介もします。

 

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双極性障害には、Ⅰ型とⅡ型があります。

Ⅰ型は、激しい躁状態とうつ状態の繰り返し。

Ⅱ型は、Ⅰ型よりもずっと軽い軽躁状態と、
うつ状態の繰り返しが特徴です。

 

Ⅰ型の躁状態では、
必要の無い高級品を借金してまで買いあさったり、
一晩中電話をかけまくったりなど、
問題を引き起こしたり、周囲を巻き込んだりしがちです。

 

それに対し、Ⅱ型の(軽)躁状態は、
気分が高揚して、いつもよりは調子が良いと
感じられる程度の状態であり、
本人も周囲にいる人も、それほど困ってはいません。

 

なので、Ⅱ型の場合は軽躁状態を自覚しにくく、
自分のことを、うつ病だと考えている方が多いです。

本人に躁状態の自覚が無いので、
医師の診断を受けるときも、
うつ状態の症状についてばかり話してしまうことになります。

 

そうなると、本当は双極性障害なのに、
うつ病と診断されてしまう可能性が高くなってしまいます。

 

※躁状態のときには、患者さんは治療を受けたいとは
なかなか思いません。

そのことも診断を難しくしている要因だと思います。

(うつ状態のときに、治療を受ける方がほとんどです)

 

もともと、双極性障害とうつ病は全く違った病気であり、
使う薬も異なります。

双極性障害には抗うつ薬は効きにくく、
むしろ操転を誘発してしまう恐れがあります。

 

正しく診断されないうちは
適切ではない薬を処方されてしまいます。

なので、患者さんが医師に話すときは、
うつ状態ではない「調子のよさを自覚しているとき」のことも
しっかり話していただきたいと思います。

 

本人に自覚が無くて難しい場合は、
ご家族など周囲から見た患者さんの気分や行動の変動状態を
医師に伝えてみるのもよいと思います。

 

最後に、加藤忠史先生の本、
『双極性障害 躁うつ病への対処と治療』
を紹介します。

 

本書は、一般向けの新書という枠を超えている
(と、私が感じた)充実した内容の専門書です。

この本一冊で、双極性障害の
基礎知識、治療法、症例などを学ぶことが出来ます。

 

とくに、薬に関する解説がとても丁寧で分かりやすく、
いい勉強になりました。

心理療法については
比較的シンプルに紹介されているのみですが、
それ以外の部分がとても充実しているので
読んでよかったと思いました。

 

双極性障害の治療法や症例を含めた
全体像を学びたい方・知りたい方にお勧めの一冊です。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!