科学者として発達障害に関して研究しておられる
千住淳先生の本、
『自閉症スペクトラムとは何か』を読みました。
この本は、発達障害の基礎研究に関する入門書。
心の動きがどうこうというよりも、
脳や症状のメカニズムとしての面を中心に解説されています。
本書は10の章で構成されていますが、
第1章から、我々支援者にとっては特に大切な
考え方が書いてありました。
こうした大人の発達障害について考えるとき、それぞれの方が自閉症やADHDなどの診断基準を満たす行動特徴や生育歴を持っているかどうかだけではなく、それらが本当に障害になっているか、という視点も重要になってきます。
●千住淳著『自閉症スペクトラムとは何か』(ちくま新書/2014/P22)より引用
「障害」になっているかどうか、それを決めるのは……
答えは、「それを決めるのは本人」です。
●千住淳著『自閉症スペクトラムとは何か』(ちくま新書/2014/P22)より引用
診断は「レッテル貼り」をするためではなく、本人の役に立つためにあるのです。
●千住淳著『自閉症スペクトラムとは何か』(ちくま新書/2014/P23)より引用
発達障害の方の中には、
人がうらやむような自己実現をされ、
地位も収入も人並み以上に得ておられる方が数多くおられます。
その人たちが自分の「個性」(人によっては「才能」となる)
を受け入れ、活かし、
そこに社会適応していく上での悩みや問題が存在していなければ、
それは改善すべき「障害」ではありません。
これは、発達障害に限らず、不安障害の場合も同じですね。
診断基準という視点を通しても
クライエントさんを見つめる支援者側の人間が、
「レッテル貼り」をしてはいけないなと再認識しました。
『自閉症スペクトラムとは何か』には、
発達障害の「個性」の部分のメカニズムが
いくつも紹介されています。
例えば、「自閉症児とは目が合いにくい」のはなぜか?(P90~)など、
「なるほど、そういうことだったのか」と、
理解を深めることができました。
一般的な発達障害の本(症状、治療法、心掛け等)とは
異なる視点で学ぶことができる本なので、
興味のある方は読んでみてくださいね。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!