年6回発行の専門誌、
『精神療法 Vol.29-No.2 (特集)非対面精神療法の展開と問題点』
を読みました。
2003年発行の号なので最新の情報ではありませんが、
「メール相談」の受付再開を検討している私にとって
何か参考になればということで読んでみました。
本書を読む前から認識していたことではありますが、
「メール相談」はあくまでメール相談であり、
カウンセリングとは違うといった点が
本書でもとり上げられていました。
e-メールによる精神療法が対面法の精神療法に比べて大きく劣るのは、視覚、聴覚的情報が得られないことである。
患者の表情や身体の動き、こちらの質問に対する反応、声の調子など精神医学ではとくに重要な情報が得られないことである。
●『精神療法 Vol.29-No.2 (特集)非対面精神療法の展開と問題点』
(金剛出版/2003/P26)中川彰子先生の論文より引用
「重要な情報が得られないこと」
一度のメールでのやり取りで、
クライエントさんの辛さ、症状、本当の気持ち、置かれた状況など、
寸分のズレも無く捉えることは、ほぼ不可能だと感じます。
例えば、こちらがクライエントさんの問題や気持ちに
沿って返答したつもりでも、
クライエントさんにとっては「こういう返事が欲しいわけではなかった」
と感じることも多々あることでしょう。
そもそもクライエントさんが、
自分の症状や気持ちを的確に文章化して送信しているとは限りません。
「本当の気持ちはこうだけれど、とりあえず今回は
当たり障りの無いように、違った表現にしておこう」
「本当の気持ちを表現するのが怖いので、書かないでおこう」
……などと感じるクライエントさんも、数多くおられると思います。
また、カウンセラー側としても、
実際にお会いしたこともない方からのたった一度のメールで、
送信主の「人となり」を寸分の狂い無く捉えることもほぼ不可能だと感じます。
例えば、同じ送信主の書いた同じ文章を複数のカウンセラーが読んだ場合でも、
送信主の書いた文章から連想されるクライエント像のイメージは、
カウンセラー毎に違ったものになると思います。
そんな条件の中で、カウンセラーの私が
「メール相談」を通してできることは……
誠心誠意、心を込めて読ませていただき、
心を込めて返事をすること。
そして、「メール相談」の限界を
あらかじめ示しておくことだと改めて思いました。
……今回は「重要な情報が得られないこと」
という視点から考えてみましたが、
「メール相談」が対面式のカウンセリングと比較して
劣っている点はこれだけではありません。
対面式とは違って、
「即時的に応答ができない」
「即時的に共感を示せない」
ということも不利な点だと思います。
そういった制約の中、
自分には何ができるのかをこれからも考え、見つけていきたい。
そんなことを考えつつ……
「明日はどの本を持って、カフェ付きのパン屋さん
(最近お気に入り)に行こうか」と、
自由な日曜日の自由な選択に心を泳がせる私なのでありました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!